大判例

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横浜地方裁判所 昭和38年(ワ)1143号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕ところで、本件手形金のうちには、内田からの借受金に対する月六分の利息が含まれており(ただし、その額は証拠上確定できない)、それはもとより利息制限法に違反するから内田より被告等に対し手形金の請求をすればこの抗弁の提出により超過利息に相当する部分の請求は棄却を免れないこととなるし、内田が当事者となる限り超過利息の金額も明らかにせざるを得ないことにもなりかねないのに、この手形を善意の第三者を装うものに裏書譲渡し、同人より手形金の支払を訴求することにすればこのような人的抗弁を切断して右の不利益をうけずにすむ可能性を生じることは被告等主張のとおりである。<証拠>によると、原告は金融業を営む森新金融株式会社の代表取締役で、同業会社の代表取締役である内田とは親しい間柄であることが明らかで、同人等はさらに、同年九月下旬内田の申込により原告は金三〇〇万円を、利息弁済期の定めなく、かつ、他に担保もとらないで貸与し、内田から本件手形の裏書譲渡をうけ、手形金の支払をうけた際には、うち三〇〇万円をその弁済に充当し、残りの約一、〇〇〇万円を他に利用してもよいという約であつた、というけれども、右貸金三〇〇万円の出所や内田の使途についての同人等の供述は真偽疑わしく、首肯するに足る傍証は全然提出されていないし、口頭弁論の全趣旨によると、本件手形と同じ頃前川が作成して内田に交付した被告会社振出名義の金額二、〇〇〇万円の前記約束手形はすでに同年八月一五日不渡となつていたことが明白で、内田にとつては本件手形も同様に不渡となるべきことが推察できたはずであるのに、同人等の供述によると、手形の裏書譲渡に際してはこの事情を秘して原告に交付し、内田においてこれと引換に三〇〇万円の融資を受けたこととなるのであつて、親交のある同業会社の社長間の取引にそのような不徳義なことが行われようとは考えられないこと、原告は本訴で内田をも共同被告としたが、内田は実質上の債務が三〇〇万円にすぎないのにその抗弁も提出しないで原告の請求原因事実を全部認め、口頭弁論を分離されて手形金一二、九〇三、四〇〇円とこれに対する遅延損害金の全額について昭和三九年三月五日敗訴の判決言渡をうけ、右判決は上訴期間の徒過によりすでに確定したことが記録により明白であつて、証人内田の証言によると、右判決確定にもかかわらずその執行がなされていないことが認められ、もし原告と内田間の三〇〇万円の貸借が真実であるとすれば、内田や原告の右の態度は容易に理解できないものであることがわかる。それ故、内田より原告に対する本件手形の裏書譲渡は冒頭記載の不利益を免れようとし、原告に本訴請求をさせることを主たる目的としてなされた信託行為であると認めるのが相当で、信託法一一条によりその行為は効力を生じないものといわなければならない。この認定に反する右両名の供述部分は信用せず、他にこれを覆えすに足る証拠はない。(森文治)

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